2019.06.18.Tue

イベントレポート

令和元年、ボクらのニッポンどうするの!?

「諸外国に比べて政治に対する若者の関心が低い」と指摘される日本。5/28にオープンコラボレーションスペース「LODGE」で、若者の政治参加や未来の政治について考えるイベント「政治×さとり世代 令和元年、ボクらのニッポンどうするの!?」が開催された。大学の授業やインターンシップなど何らかの形で政治に関わっている20代を中心とする参加者に対し、ジャーナリストの津田大介さんや国会議員らが、日本の抱える政治課題と解決策を提示。参加者の鋭い質問にも本音で答えた。白熱した130分だった。

これからの政治を考えるための6つの論点

 参加者で一番多かった年齢は20代前半。中には10代もおり、参加者40人の約半分が「さとり世代」だ。
 ゲストは5人。ジャーナリスト/メディア・アクティビストの津田大介さん、一般市民と政治家が共同でまちづくりできるサービスを提供する株式会社PoliPoliの創業者、伊藤和真さん、大阪府枚方市議の木村亮太さん(無所属)、自民党衆議院議員の宮川典子さん、アイドルグループ「仮面女子」の元メンバーでこの4月に東京都渋谷区議に当選した橋本ゆきさん。若者の政治参加やこれからの政治を考えるに当たってポイントとなる「若年層の投票率」「シルバーデモクラシー」「世界の若者との差」「なぜジブンごとにできない?」「政治がタブー視される理由」「政治のテクノロジー利用」という6つの論点を提示し、それぞれで議論を深めていった。

投票率は選挙制度の工夫で上げることができる

 日本の20代の投票率は低迷している。2014年の衆院選は32.58%、17年は33.85%とそれぞれ平均を大きく下回った(平均52.66%と53.68%)。17年の衆院選は18歳以上が初めて投票可能になったが、10代も40.49%と低かった。会場に、この春実施された統一地方選挙に行ったかを尋ねたところ、選挙に行かなかった人、行けなかった人が散見された。慶應義塾大学大学院に通っているという学生の口から語られた、自身の周辺で選挙に行かなかった友人の理由は次のようなものだ。
「地方から上京してきた学生だと、投票するには不在者投票の手続きが必要だが、その手続きを忘れてしまった。投票のためだけに実家に帰ることもできなかったので、投票しなかったと聞いたことがある」
 これに対し、津田さんは「若い人ほど忙しいので、不在者投票や期日前投票をより利用しやすくしたり、電子投票を検討したりしたっていい。韓国の大統領選挙のように、選挙は必ず水曜日に実施し、その日を祝日にすることや、国会議員選挙であれば地域別の選挙区でなく年代別選挙区にすることも1つの方法だ。投票率は制度面の工夫で上げることができる」と指摘する。

若者は社会課題に興味はなくても、特定の課題には強い関心

 高齢者の意見が過剰に反映されやすいシルバーデモクラシーについて、木村さんは実感を込めて話した。
「枚方市はベッドタウンということもあって、若い人より高齢者が多いと感じる。学校や仕事があって平日昼間に接触する機会のない若い人には声が届きにくい印象があるので、選挙活動中はTwitterなども使い訴えるようにしている。ただ、若い人たちに訴えたい気持ちはあるものの、誰の票でも同じ1票なので、高齢者の方にも1票を投じてもらう思考になる」
 シルバーデモクラシーが過度に進展する要因の1つが、最初の論点として挙げた若者の低い投票率。政治や社会に関心がないから選挙に行かないように思われるが、まったく関心がないわけではなさそうだ。PoliPoliユーザーの傾向から、伊藤さんは次のような見解を示す。
「PoliPoliユーザーの8割は10代と20代です。強い思いを持っていてよく発言する人は30代が多い。若い人は社会課題を感じていないようにも見えるが、ある特定の話題に関しては強い関心を示すことが多く、若者の政治参加を考える上でヒントになると思う」
 このほか、津田さんはシルバーデモクラシーの問題は「被選挙権」に本質があると指摘。地方選挙だと定員割れを起こすような地域から出馬すれば当選するチャンスがあることを踏まえ、「若い人たちの投票率を上げるより、選挙に立候補してもらう。その方が、シルバーデモクラシーは早く変わると思う」と話す。

若者は諦めているから政治への関心が低い

 世界の若者と日本の若者を比較した時に特徴的なのが、政治に「非常に関心がある」層が少ない点だ。政治家が自分たちの世代に向き合ってくれないことも、この結果に反映されている。
 伊藤さんは「関心が低いのは『諦め』だと思う。この状況を変えるには、普通の人の声でも社会を変えられるという成功体験をつくることが大事。ネットは声を挙げやすいので、集まった声を民意として議員に届け、政治の力で解決を図る成功体験を重ねていけば、諦めの感情は少しずつ解消されるように思う」と分析。
若手の現役議員を代表して橋本さんは、「不満があっても解決の手段として政治があると思っている人は少ない。しかし、ネット社会になり誰でも情報を発信できるようになった現在は、共感が得られればバズることができ、日本を変える力を持っている」と話す。
 日本の若者は政治を「ジブンごと」として捉えられない人が多い。諸外国と比較しても、顕著に目立つ傾向だ。宮川さんは次のような見解を示す。
「政治に興味がないわけではなく、興味を消している」

政治はクールじゃないから話題にしない

 政治に対する関心の低さの背景には、政治の話題がタブー視されている風潮がある。会場に「この1週間の間に、家族や恋人などと政治の話題をした人は?」と尋ねたところ、手を挙げたのがゲストのみで、参加者では誰もいかなった。
 立候補しようものなら、「変人」扱いされる。橋本さんも立候補を決意しそのことを親しい人たちに表明したとき、厳しい反応が返ってきた。
 「政治」と聞くと、偉いおじさんが小難しい顔をして外交などについて話をしているイメージがあるが、伊藤さんは「まちづくりのような身近なことから少しずつ関わり、変えることができたらクールと思われる。そういう雰囲気ができたら、ちょっとずつ変わっていくと思っている」と話す。

印鑑をなくせない日本で電子投票は実現するのか?

 電子投票など、政治においても今後、テクノロジー活用の検討が避けらなくなってきている。伊藤さんは政治とテクノロジーの関わりを次のように見通す。
「結論から言うと、この10年でテクノロジーの活用が進み、めちゃめちゃ変わると思う。ミレニアル世代やZ世代と言われる人たちが社会の中心に入っていく10年後は、国づくりがこの世代に合わせて移行することが考えられる」
 橋本さんは議員の立場から、ネット投票の必要性を訴える。現在のような投票所で投票用紙に記入して投票するアナログなやり方は、無効票が出たときにやり直しができない。無効票を生まないためにも、ネット上で投票できる仕組みが望まれるというわけだ。
 しかし問題は、電子投票などのルールを決める上の世代がテクノロジーを理解していない上に退場しないこと。政治に最新のテクノロジーを活用するに当たっては、議員の定年制もセットにして検討しなければならない。それに、議員は旧来の選挙制度で勝ち残ってきているので、電子投票に変えるインセンティブが働かないと動かない。印鑑をいまだに無くせない日本で、電子投票の導入はハードルが高い。
 電子投票は国会でも議論が進んでいない。iPhone2台とiPadを持って議員活動をしている宮川さんだが、国会には「なんでそんなに持っているの? 1台でいいじゃん」と言ってガラケーを取り出す議員がいるほど遅れている。LINEがまともにできない議員も少なからずいる。
 現在の状況では国政選挙で電子投票の実現など望めそうもない。しかし、諦める必要もない。木村さんは明るい見通しを描く。 「ネットやITに詳しい人材が政治の世界に増えれば、変わるのではないだろうか。地方自治体の場合、財政が不足してくると職員を減らし、その分システム化を進めているので、徐々にではあるが変わる印象を持っている」

選挙に行くようになるのはどうしたらいいのか?

 どうすれば若い人たちは選挙に行くのか----。会場に投げかけたところ、大学生から次の意見があがった。
「選挙に行くのにネックなのが、時間がかかること。授業とバイトで1日が終わってしまい行けないことがある。少ない時間、少ない手間でできることが一番大事。ネットで投票できるようにしたり、近くの学校に投票所を開設したりしてくれれば......。足を運ぶという意識がなくなればいいと思う」
 また、「選挙に行くのが面倒臭いと思っている人にはどういうアプローチを取るのがいいのか」という質問が出た。この問いに対し橋本さんは、「損得勘定に訴えること」を提案。「露骨だけどわかりやすいインセンティブは必要で、選挙のイメージを変える自治体が出てくることを期待している」と主張する。
 津田さんは、「選挙制度の問題」と指摘する。
「日本のように選挙期間を区切っている国は珍しい。世界では、1年365日いつでも政治活動ができる方が主流だ。日本で当たり前になっていることを変えないといけない。選挙に行って投票すると割引の特典が利用できるインセンティブがあるのもいいが、割引が目当てで選挙に行った人が何も考えずにいい加減な候補に投票することで政治の質が悪くなるのではないか。興味のない人に興味を持ってもらえるよう、無理やり何かをしても、あまり意味がないと思っている」

外国人参政権はどう考える?

 そして、日本に暮らす外国人から、次のような新たな問題提起がなされた。
「20年以上日本で暮らし、税金も納めているが、日本の選挙権がない。これから先、これは大きな問題の1つになると考えている。この点についてどう思っているのか」
 津田さんは「日本は住民投票の制度はあるものの、ほぼ有名無実化。選挙の時に住民投票を実施するなど地方自治を見直し、そのとき日本に住む外国人にも地域の課題に関する住民投票に参加してもらうだけで、かなり変わるはずだ。政府も優秀な外国人材を受け入れる方針を打ち出しているので、こういう議論を始める時期に来ている」と、地方参政権を認める立場を取る。
外国人参政権に関する議論は、国会でも重ねて実施している。「入管法が変わったので、日本のために貢献し、私たちにとっても刺激になる外国人が増えることになれば、この議論はもっと増えると思う」と宮川さん。日本に定住することのインセンティブとして外国人参政権を真剣に考える時期に来ているといえそうだ。

さとり世代が選挙に行くようになるには?

 今夏、日本では参議院選挙が控えている。最後にゲスト全員がさとり世代に向けてメッセージを投げかけた。
「選挙に死に票はない。政治家は、自分に何票入り、相手に何票入ったかをしっかり覚えている。よく、『自分が投票した人が当選しないと意味がない』と言う人がいるが、そんなことは絶対にない。あと選挙だからといって力むことなく肩の力を抜き、今悩んでいることを素直に訴えかけたり話しかけたりする勇気をずっと持って欲しい」(宮川さん)
「選挙に行かないのは、政治に対してプラスのイメージが持てないからだと思う。でも、議員も行政も、新しくて面白いことをしようと一生懸命になっている。こうしてほしい、ああしてほしい、といった声は意外と届くもので、そこから実現する。政治は自分に関わることなので、政治を語り合うのは、本来は楽しい時間。友達と政治の話を始めてほしい」(橋本さん)
「投票には行って欲しいが、自分の選び方が合っているのか、正しい人を選べるのか、ということに正解はない。とりあえず誰かに投票してみるのがいいと思う。自分が投票した人が当選したら、6年間どうかをSNSなどでフォローし、頑張っていたら次の選挙でも投票したらいいし、考え方が合わなかったりイマイチだと思ったりしたら、次は違う人に投票するのでもいい。政治は堅苦しいものではない」(木村さん)
「このイベントに参加した人は、基本的に選挙に行く人だと思っている。ただ、政治に対して何かしらのアクションを起こしても、大多数の人はフィードバックが得られないだろう。なので、自分の選挙区から出馬する政治家や関係しそうな政治家に、自分が思っていることを送ってみたら面白いと思う。選挙前だと案外、返答が帰ってくるもの。ぜひ試してみてほしい」(伊藤さん)
「あえてニヒリスティックに言うが、選挙にあまり期待しすぎないこと。期待が高すぎて、自分が投票した候補者が落選すると、無力感に襲われる。たかだか1つの選挙で、世の中は大きく変わらない。政治は積み重ねで、関わっていく意識をいかに持ち続けるかだ。政治は選挙だけでない。決定できるところで変えることが、そもそも政治的な行為。そういうことをしていくことで、世の中が変わることに関わっていくこともできる」(津田さん)
 社会はこれから、さとり世代が中心となって動いていく。今回のイベントをきっかけに、身の回りの身近な問題に少しずつ関わりを持つところから始め、政治を難しく考えることなく、選挙に行くようになってもらいたい。

取材・文:リベルタ

#03 若き政治家は未来をいかに描くか?

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